ニュースの概要
月刊FACTAは、SBIグループがファクタリング事業を終了したと報じました。背景には、取引先であるカフカの倒産があります。買い取った債権が回収できなくなり、焦げ付きが生じたとされています。金融大手が手掛ける事業でも、特定の相手先が破綻すれば損失が膨らみ、事業そのものをたたむ判断に至る。この報道は、ファクタリングが単なる資金の前借りではなく、債権の回収リスクを丸ごと引き受ける商売であることを、あらためて示しました。利用する中小企業にとっても、他人事ではありません。
引用元: <インサイド> SBIのファクタリング事業終了/カフカの倒産で債権焦げ付き(月刊FACTA)
分析・見解
大手の撤退が示す、債権買取の本当のリスク
ファクタリングは、売掛金(=まだ受け取っていない代金)を期日前に買い取ってもらう仕組みです。買い取る側は、売掛先が払えなくなる危険を負います。この危険が一か所に集まると、一度の倒産で収益が吹き飛びます。
今回の件は、まさにその典型です。カフカという特定の相手先の倒産で、まとまった債権が回収不能になったと伝えられています。手数料は一件ごとに数パーセントから十数パーセントです。一方、焦げ付きは元本そのものを失います。数十件分の手数料収入が、一件の不良債権で消える計算です。
事業の規模より、相手先の分散が命運を分ける
金融業の常識として、貸し倒れを防ぐ最善策は分散です。ところがファクタリングは、少数の大口取引に偏りやすい性質があります。審査が速く、大きな債権ほど手数料の絶対額が大きいからです。
似た例は過去にもあります。リース業界では、一社向けの大口与信が膨らんだ会社が、その相手の破綻で経営危機に陥った事例が繰り返されてきました。売掛債権の世界でも構図は変わりません。大手だから安全とは言えず、むしろ新規参入組ほど、成長を急いで偏りに気づきにくい面があります。
手数料の裏にある、審査コストと損失の見積もり
利用者から見ると、手数料は高く感じられます。しかし、その内訳には、審査の人件費、回収の手間、そして想定される貸し倒れ損失が含まれます。損失の想定が甘い業者は、手数料を安く見せられます。その代わり、ある日突然に事業を縮小したり、条件を変えたりします。
安さだけで選ぶと、契約の途中で買取枠が止まる恐れがあります。手数料の水準は、事業を続けるための体力の裏返しだと考える必要があります。
償還請求権の有無が、焦げ付きの行き先を決める
ここで見落とされがちな論点があります。償還請求権(=売掛先が払えなかったとき、利用企業に買い戻しを求める権利)の有無です。これが付かない契約を、ノンリコースと呼びます。ノンリコースでは、焦げ付きの損失を業者が負います。業者が撤退した今回の構図は、その負担が重いことの証拠です。
今後は、ノンリコースの条件が厳しくなる可能性があります。買取率が下がったり、売掛先の与信審査が厳格になったりするでしょう。利用企業は、自社の売掛先の信用力そのものが、資金調達のしやすさを左右する時代になると考えておくべきです。
ビジネスへの影響
利用中の契約が止まる場合に備えた、二重の備え
まず、一社だけに資金調達を頼らないことです。利用中の業者が買取を停止したり、条件を変えたりしても、すぐ次の手段を使える状態にしておきます。具体的には、二社以上と基本契約を結び、少額でも定期的に取引して関係を保つことが有効です。審査にかかる日数は初回が最も長いため、困ってから申し込むのでは遅れます。
業者選びで確かめたい三つの点
一つ目は、運営会社の継続性です。親会社の有無、事業年数、財務の公開状況を確認します。二つ目は、契約形態です。償還請求権の有無と、買い戻しの条件が書面で明確かを見ます。三つ目は、手数料の根拠です。極端に安い提示には、必ず理由を尋ねてください。説明が曖昧な業者は避けるのが無難です。
自社の売掛先を点検し、資金計画に織り込む
最後に、自社の売掛金の集中度を確認しましょう。特定の一社に売上の半分以上が偏っていれば、その会社の倒産は自社の資金繰りを直撃します。取引先の信用情報を定期的に見直し、ファクタリングの利用額には上限を設けます。事業の撤退や条件変更は、突然に告げられるものです。月次の資金繰り表に、調達手段が止まった場合の想定も一行加えておくと安心です。